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「身体拘束ゼロ」を心から推進したい、という話

"身体拘束ゼロ"への取り組みはとても重要。

県が入所者拘束を確認 職員不足で指導の老健施設(読売新聞2月19日)

介護保険法では、身体拘束は生命の危険があるなど緊急の場合を除き、原則禁止されている。ある元職員は、読売新聞の取材に対し、「人手が足りず、入所者がけがをしないよう目配りすることができないので、日常的に拘束していた。おむつ替えや入浴などのサービスも不十分で、施設側に人手不足を訴えたが、『赤字だ』と取り合ってもらえなかった」などと証言した。(本文より)



本件は老健でのケースな訳だが、"身体拘束"というものをちょっと安易に捉えすぎていたのではないだろうか。

病院や施設に勤務する者の中には拘束を日常的な風景と見做し、こういった当たり前の意識が希薄になっているケースがある。この記事の施設などはその典型であろう。

施設での身体拘束は、「当該入所者又は他の入所者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合」に限って許されているのであり、人手が足りない等といった施設側の事情で行って良いものでは決してない。そもそも身体拘束が許されているのは異常な行為なのである。

例えば、GMがこのブログを読んでいる"あなた"につなぎ服を着せ、ミトンをはめ、車イスにベルト固定し、居室のドアを施錠して部屋から出て来れなくした場面を想像して見ると良い。これがどれほどの苦痛と屈辱をあなたに与えるか、よくわかるはずだ。もちろんGMは犯罪者となる。

さらに言うなら、そもそも身体拘束は国の最高法規たる「憲法」の理念からも外れた行為である。基本的人権を侵害していると解釈できるからだ。根拠となり得る条文はいくつかあるが、内二つを挙げる。

【第十八条】  何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。

【第三十四条】  何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。


※他の条文については第31条・第33条・第36条あたりを参照の事。

無論、GMも施設に勤める身である以上、どうしても拘束が必要となるケースがあることは理解している。看護・介護は綺麗事では済まない仕事だ。人権は守ったけど命は失いました、というのでは本末転倒である。故に身体拘束をおこなう場合は慎重な取り扱いが必要となる。

仮に特養で拘束を行う場合、次の三点が全て満たされているかどうかを施設の「身体拘束廃止委員会」等のチームで検討、確認しなければならない。

切迫性:利用者本人又は他の利用者等の生命又は身体が危険にさらされる可能性が著しく高いこと。

非代替性:身体拘束その他の行動制限を行う以外に代替する介護方法がないこと。

一時性:身体拘束その他の行動制限が一時的なものであること。



※上記3つの要件を踏まえた上で、更に下記の点にも留意すること。

・「緊急やむを得ない場合」に該当するかどうかの判断は、施設内の「身体拘束廃止委員会」といった組織において、事前に手続等を定め、具体的な事例についても関係者が幅広く参加したカンフアレンスで判断する体制を原則とする。

・利用者本人や家族に対して、身体拘束の内容、目的、理由、拘束の時間、時間帯、期間等をできる限り詳細に説明し、十分な理解を得るよう努める。

・施設長や医師、その他現場の責任者から説明を行うなど、説明手続や説明者について事前に明文化しておく。

・事前に身体拘束について施設としての考え方を利用者や家族に説明し、理解を得ている場合であっても、実際に身体拘束を行う時点で必ず個別に説明を行う。

・「緊急やむを得ない場合」に該当するかどうかを常に観察、再検討し、要件に該当しなくなった場合には直ちに解除する。この場合には、実際に身体拘束を一時的に解除して状態を観察するなどの対応をとる。

・日々の心身の状態等の観察、拘束の必要性や方法に係る再検討を行うごとに逐次その記録を加えるとともに、それについて情報を開示し、ケアスタッフ間、施設全体、家族等関係者の間で直近の情報を共有する。文書の保存期間は退所後2年間。



上記の処置を取らなかった場合、保険給付が入所者全員に対して1日につき5単位の減算(身体拘束廃止未実施減算)となるため、経営上の点から見ても身体拘束は好ましくない事がわかる。手間も多い。拘束は施設にも被介護者にも不利益をもたらすのである。

それでもトップ(施設長等)の判断により、安易な身体拘束が行われている施設も多いかもしれない。上司にいくら言っても聞き入れてくれない、なんて例もあると思う。そんな職員さんは上司に次の法令を見せてあげましょう。少しは考えも変わるかもしれない。

※人身保護法 
【人身保護規則】 
第三条(拘束及び拘束者の意義)
 法及びこの規則において、拘束とは、逮捕、抑留、拘禁等身体の自由を奪い、又は制限する行為をいい、拘束者とは、拘束が官公署、病院等の施設において行われている場合には、その施設の管理者をいい、その他の場合には、現実に拘束を行つている者をいう。



さあ、言ってやりましょう。
拘束をおこなっているのは「施設長、あなたです」と。


え~、長くなりましたが、要するに今回の記事で何が言いたかったかというと・・・

身体拘束についていわく、


はい、その通り。
身体拘束は禁止されてる訳じゃないけど、本来ならやるべきではない行為だということだけは常に頭に入れておく必要がありますよね。

施設の皆様、身体拘束は極力廃止の方向で。
ご利用は計画的に。
且つ慎重に。

やらないに越したことないのはサラ金以上ですよ。

【関連情報】
・WAM NET-身体拘束
・特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準(e-Gov)
・日本国憲法(e-Gov)
・人身保護規則(裁判所HP)

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